junaida (著)
福音館書店 2019年
「の」はいつも、ことばとことばのすきまにこっそりいます。でも、ふだんは目立たない、この「の」には不思議な力があったのです。その不思議な力がことばをつなぎ、ことばとことばが思いがけない出会いをはたしたとき、そこには見たこともない景色があらわれ、聞いたこともない物語がはじまります。「わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の いちばん上のながめのよい部屋の 王さまのキングサイズのベッドの……」。「の」は「わたし」と「王さま」を、「猫」と「太陽」を、「ここ」と「あそこ」を、「いま」と「むかし」を、そして、「あなた」と「わたし」をつなぎます。「の」は「ことば」と「ことば」をつなぐことで、「物語」と「物語」、「世界」と「世界」を橋渡しし、そうしてつながった、物語や世界は、それぞれがかぎりないひろがりを持っています。さあ、この絵本を開いて、不思議な「の」が導く、終わらない旅に出かけてみませんか。